書道のいろは
〜間違えない、用具の使い方と手入れ〜


一番難しいのがココです。

道具と法帖をそろえて、本棚に飾っておく・・・しばし自己満足に浸りますが、
道具は使ってこそ宝になります。


手入れも、使い方同様、とても大切。

特に筆や墨には神経を使いましょう。

手入れ次第で道具の
使用できる期間が何十年も違ってくるからです。

せっかく買った大切な道具は大切にしてあげましょうね。

用具別/使い方・手入れ 虎の巻

大筆 購入時 用途に合わせて買いましょう。
書体、紙の大きさ、予算を、教わっている先生や筆専門店で尋ねると、おすすめを教えてくれます。
「バーゲンだった」「なんとなく」「デザインが良かった」という理由で買ってしまうのは失敗の元です。
購入したら 糊で固めてある「かため筆」は、水かぬるま湯で取ります。
使用前 カラカラになるまで乾かしておきましょう
湿ったままでは墨の濃度が分かりにくくなります。
使用中 乾かないよう、一休みする時はサランラップに巻いておくか、筆立てに入れておきましょう。
次の練習日が3日以内なら、密封しておけばOK。3日以内に練習できない時は洗いましょう。
使用後 @水でよく洗います。根元を指で開いて、しつこく洗います。
水を絞らず、ポタポタ落ちる状態のまま、ぶらさげて自然乾燥しましょう。
翌日には筆の先に墨が落ちて固まりかけているので、さらに洗いましょう。

Aたまにはシャンプー&リンスのケアを。(生徒さん情報)
人間の髪を洗うときと同じように、ぬるま湯で洗い、リンスをつけて流します。
毛のゴワツキがなくなり、乾かした後にサラリとします。

動物の毛ですから、優しく扱うのが一番ですね。
保管の仕方 逆さにしてぶらさげておくのがベスト。
筆架という商品がおすすめです。S字フックでも代用できます。
タブー ・購入時のキャップを付けて保管する
 →毛がムレてカビます。無理やり付けると毛が曲がります。
・横にして保管しておく
 →クセ毛のまま乾き、書きづらくなります。
・洗った後にギューーーッと手で絞る
 →上と同様。さらに、筆の根元の墨が出てこなくなり固まります。
・墨が付いたまま放っておく
 →論外。固まってダメになります。
トラブル対処法 @先が2つに割れる。
 →根元が固まっています。かなり荒療治をして洗わないと取れません。
こうなってしまったら、教室では、毛が十数本抜けてしまうことを覚悟のうえで、正しい洗い方を実践指導しています。
「墨を溶かして洗い、新品の頃に戻してください。」と言っても、新品の頃がどんなだったかすでに忘れてしまっているからです。実際に洗い方を見て、墨がほぼ完全に取れた筆の状態を手で触って確かめてもらっています。

ちなみに王道では「ぬるま湯に浸して、少しずつ墨を溶かす。」とありますが、お湯が軸にしみこむことにより、軸にヒビが入り割れてしまうリスクが高いです。軸につかないよう、毛の根元をぬるま湯に浸し続けるのは、かなり面倒くさい作業・・・。
軸が割れて数週間もの間、修理に出すよりは、たとえ毛が抜けても、5〜10分で新品同様に復活させることをおすすめします。

A根元から毛ごと、スッポリ抜ける(原因:乱暴に洗う等)。
B軸が割れる(原因:洗う時に、水に漬けたままにする)。
 →購入店に修理依頼しましょう。職人さんが直してくれます。だいたい3,000円ぐらいです。他店では職人さんが異なり、扱ってくれない場合があります。
安価な機械製の筆の場合は、買った方が安い場合もあります。
小筆 購入したら 先端の1/3程度を指でほぐします。
湿らせたティッシュに1/3程度を当てて少しずつ糊を取っても良いでしょう。
決してジャブジャブ洗ってはいけません!
小筆は糊が取れるとフニャフニャになり書きづらくなります。

ただし、筆圧のコントロールができる中級者以上なら使えます。
「中級者以上の小筆を手に入れたのだから、上手くなるようにがんばろう(^^)」とプラス思考で割り切れる人は、そのまま使ってOKです(笑)。
むしろ、否応なく上手くなるからおすすめかも?
使用中 【墨液】湿らせたティッシュを傍に置き、筆の墨が固まるのを防ぎます。
【磨った墨】乾いたティッシュを傍に置き、「かすれ」の表現の時に墨を取れるようにします。
使用後 湿らせたティッシュで、墨が残らないよう、良く拭き取ります。糊が取れないよう注意。
使用後 乾いてから、購入時のキャップを付ける。
保管の仕方 筆立てに立てておく。
タブー ・購入時のキャップを付けずに保管する。
 →保管中や移動中に毛が曲がりやすくなります。
・よく拭き取らないで墨が固まる。
 →先端がまっぷたつに割れる原因になります。墨がついている部分(ほぐしてあるところ)の根元が太ってきたら注意。
トラブル対処法 @毛が飛び出してボサボサになった。
 →使用後に、磨った墨を表面にちょっとだけなでつける。
  墨液をつけては絶対にダメ!
 →大和のりを水で薄めて、表面になでつける。
A糊が全部取れて、ほぐれてしまった。
 →
糸で巻きましょう。巻き方は教室で指導します。
 →あきらめて中筆として活用する。
 →筆圧のコントロールを磨き、使えるように努力する。
 →新品を買う。同じものを何本か所有して使いまわした方が、
  かえって長持ちします。
使用中 ・指の脂が墨の質を悪くしてしまうので、持つ部分は和紙で包みましょう。
・25度で磨るのがベスト。寒すぎても暑すぎてもダメ。
 →温度を一定に保つ「硯・墨池保温シート」という商品があります。ハムスターが冬越えするための保温シートも、こんな感じですね。

無理に力を入れてガリガリ磨らないようにしましょう。
わさびや大根は、乱暴に摩り下ろすと辛くなると言われています。
墨も同じように、やさしく、愛情をこめて磨りましょう。

慣用句に「墨を磨るは病夫の如くし、筆を把(と)るは壮士の如くす。」(引用:広辞苑)とあります。
墨を磨る時は、病に伏せた人のように弱々しく、筆を持ったら血の気の盛んな男子のように書きましょうということです。そんな一気に変身できるものでしょうか? やるだけやってみましょう。

余談ですが、「病夫」より「(深窓の)令嬢」へ変えた方が聞こえが良いですよね。箸より重いものは持ったことがない(と予想される)ご令嬢なら、優しく磨れるはず。「姫」でも良いかな。
同じ意味の慣用句に「墨は餓鬼に磨らせ、筆は鬼に持たせよ」というのもあります。いずれにせよ、物騒な例えですね。誰が作ったのだろう?
使用後 すり終わったら、水気をよく拭き取りましょう。
水気を含んだままにしておくとヒビが入りやすくなります。
保管の仕方 風通しの良いところで保管しましょう。
購入時の木箱に入れておきます。
洋服を汚してしまったら? ・すぐに石鹸水で、たたくように落とします。それでも落ちなければ、薄めた漂白剤を綿棒につけてしみこませると取れます。(白以外は、生地の色落ちに注意)
・「スミノンα」という商品もあるようです。
タブー ・湿ったところに出しっぱなしにしておく。
 →ヒビが入ります。割れることもあります。
・【墨液】暑い場所に保管しておく。
 →膠と墨が分離してヨーグルトみたいにドロンドロンになります。臭いです。
使用中 磨る時に滑るので、いらないハンカチなどを敷きます。
使用後 水やお湯で墨をよく洗い落としましょう。
スポンジや、いらない歯ブラシでやさしくこするようにします。
タブー ・紙で拭いて終わり。
 →墨が磨れるギザギザの部分(肉眼では見えません)に墨がたまり、磨れなくなっていきます。磨れる状態に戻すためには、用具店で3,000〜5,000円程度かかります。

・ジフ(研き用洗剤)やタワシを使って洗う。
 →上記の”ギザギザの部分”が取れてしまい、磨れなくなります。傷をつける原因にもなります。

・乱暴に磨って傷をつけた。
 →砥石で磨きます。ただし、シロウトでは失敗する恐れも。私は過去、力いっぱい磨き過ぎて傷を増やしました(涙)。専門店に依頼するのが近道です。
メンテナンス 上記の”ギザギザの部分”は、普通に使っていても磨耗していきます。磨れなくなった(色が出にくくなった)と感じたら、用具店に依頼しましょう。
使用中 指で触ってみて、つるつるした方を表として使いましょう。ただし、100円ショップ等の安価な紙の表面は筆が滑って書きにくいので、裏を使ってもかまいません。
保管の仕方 風通しがよく、高い場所に保管しておきましょう。梅雨時は特に湿りやすいです。
タブー ・ビニールにいれっぱなしにしておく。床に置く。
 →ムレます。
・むき出しにして保管する。
 →日に焼けて黄ばみます。
・練習用として新聞紙を使う。
 →新聞紙のインクが筆を傷めます。
その他 下敷き ・シワをつけないようにする。ちょっとしたシワがあるだけでも、かなり書きにくくなります。特に2つ折にして持ち歩く場合は注意。
・シワをつけてしまったら?
 →低温でアイロンをかける。
 →寝押しする。
 ×洗ってはいけません。変な方向に伸びて、微妙な菱形に変形してしまった生徒さんがいました・・・。


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